手法解説の続きです。
この手法は、全体像を理解しただけでは成功につながりません。
実際に運用するとき、「設計」次第で大きく差が出ます。
「設計」とは、「価格レンジや資金配分の決め方」を意味します。
この決め方の方法論を曖昧にしたまま始めると、損失で終わったり、途中撤退することもあり得ます。
この章では、実際に運用するための設計の考え方を解説します。
設計の前提
まず前提として押さえておくべきことがあります。
この手法は、予測で利益を取るものではありません。
? 値動き(ボラティリティ)を前提に、反復で利益を積み上げる手法です。
そのため、
- どの価格範囲で
- どのくらいの資金で
- どのように分割してエントリーするか
ここがすべてになります。
レバレッジはいくつにするか?
結論からいうと、1倍です。
より正確にいうと、レバレッジ取引はせず、「現物」で売買します。
理由は3つ。
- 価格変動が大きく、現物でも十分な収益機会がある
- 強制ロスカットのリスクを排除できる
- 資金調達コストがかからない(レバレッジ取引は、金利の支払いのようなコストが発生します)
仮想通貨(暗号資産)は、有望な銘柄でもジェットコースターのように大きく下落することがあります。
そのため、ロスカットされない構造(=現物取引)を前提にすることが非常に重要です。
レンジ設計の考え方
ここからが設計の核心です。
知っておくべき仮想通貨のアノマリー(事前知識)
アノマリー(Anomaly)とは、経験的に見られる「マーケットの規則性」のことです。
仮想通貨のトレンドは4年周期と言われています。
これは、ビットコインの半減期が4年に1度ということに起因しています。
そしてビットコイン以外の仮想通貨のトレンドも、おおむねビットコインと連動する形で推移する、という特徴があります。
ビットコインの前回の半減期は2024年の4月ごろで、そこから約半年後(米国大統領選後)に上昇トレンドに突入しました。
下のチャートを見てみてもわかるように、おおむね4年に1度(ビットコインの半減期の到来後)、本格的な上昇トレンドが来ていることがわかりますでしょうか?
・ビットコイン/円の4年サイクル(↓)

・イーサリアム/円の4年サイクル(↓)

このような周期性は、トレードの前提として認識しておく必要があります。(イーサリアムは直近はすこし足踏み状態ですが)
そうしたことを念頭に置き、つぎに価格レンジを決めます。
価格レンジ(上限)の決め方
上限は、「現状のレートから大きく離れすぎない範囲」で設定します。
過度に上を見すぎると、そのぶん必要資金が増え、運用効率が落ちます。
この手法は、上昇を取りにいくものではなく、現在の価格帯の値動きを取るものです。
そのため、現実的な範囲に収めることが重要です。
上の図で取りあげたイーサリアム(仮想通貨市場で時価総額 第2位の銘柄)のチャートを例にすると、価格レンジの上限は2,500~3,000ドル程度で良いでしょう。
※ビットコインよりイーサリアムの方が値動きがなだらかで、例にしすいので、以降はイーサリアムで解説します。
仮想通貨市場のアノマリーを念頭に入れると、このチャートでは上昇トレンド期が一区切りついたと見受けられる場面です。
そうした大局を鑑みたうえで、あまり高すぎない値を上限に持ってきた形となります。
いつかは「価格が上抜ける」ことを想定し、それまでのレートの上下を収益化できればよいわけです。
だから、高値を目指す必要はありません。
まとめると、売買するレンジの上限は、
- アノマリーを考慮しつつ、
- 各人の裁量で、あまり高すぎない値段におく
と考えればOKです。
上限を上抜けたときは、その時にまた価格レンジを想定しなおすか、別の銘柄に引っ越すかをあらためて検討すればOKです。
価格レンジ(下限)の決め方
下限の決め方は、ダウ理論に依拠しつつ、ひとつ重要な考え方を加味します。
ダウ理論とは、相場観測における理論のひとつです。
そのなかには、「前回の安値を下回らないうちは上昇トレンド(下降トレンドはその逆)」という基本定義があり、これを信仰するトレーダーも多く存在します。
今回のイーサリアムの例では、前回の安値は1400ドル近辺であり、ここがひとつの下値の目安となります。
あるいは、前回の4年周期の安値である800ドル近辺を目安とする人もいるでしょう。(下図)

では、下限は「800~1400ドルくらいか?」というと、この手法の考え方は違います。
この手法では、
「そういった多くのトレーダーが考えるような底値はブレイクする」
と考えるようにします。
具体的には、「800ドル割れが起こり得ることを前提に組む」です。
もっと辛辣に言えば、さらにその前の4年周期の安値、100ドル付近に至っても売買ができるような範囲を想定しましょう。
初・中級トレーダーが相場で勝てない理由は、
「まさかこのレートまでは下がらないだろう。」
という"希望的観測"に起因します。
こうした考え方が頭にある人は、トレードでは勝てません。
大口トレーダーなどは逆に、こうした"希望的観測者"からお金を巻き上げるわけです。
大量の売りで価格を暴落させ、ロスカットを誘発し、その後でまたゆっくりと買いを仕込むわけです。
しかし、こうした下値ブレイクを前提とする考え方を事前に織り込んでおけば問題ありません。
現物取引を推奨したのもこのためです。
たとえ暴落しても、現物であればFXのように証拠金割れで強制ロスカットされる心配はありません。
価格が暴落している最中も、レートの乱高下により収益は出続けます。
まとめると、レンジの下限は、
「ダウ理論における安値を参照しつつ、それを割れることを前提に設定する」
となります。
やってはいけないこと
この手法で失敗につながる、やってはいけないことを2点あげます。
1.自己資金を一点投下すること
2.途中撤退すべきタイミングでためらうこと
1.自己資金の一点投下
これについては、特にあえて言う必要はないと思います。
有望でかつボラティリティが高いからと言って、自己資金を一点投下しないようにしましょう。
トレードを安定させるコツは、分割売買することに加えて、分散投資を念頭におくことです。
資金を集中させればさせるほど、運用が失敗する確率は上がります。
その理由は、メンタルコントロールの難易度が上がるからです。
2.途中撤退すべきタイミングで躊躇すること
「レンジの上抜け」以外でトレードを終了すべきタイミングがあります。
それは「その銘柄が有望でなくなった」と判断したときです。
具体的には、その仮想通貨(暗号資産)が以下の状態になったときです。
- 期待された開発ロードマップを歩めておらず、先行きも見通せなくなった
- 開発当初に思い描かれた存在意義が、世相の変化や強力なライバルの出現により薄れたり、無くなりつつある
- その他、なんらかの事件・事象により存続が危ぶまれるようになった
こうした場合は、銘柄の選定理由が崩れたことになるので、撤収を検討すべき状態となります。
「もうちょっと待ってみよう」と思っているうちに損失が膨らむ可能性がありますので、見切りをためらってはいけません。
資金を一点投下していると、こうした判断もさらに難しくなってしまいます。
ここまでで、設計(価格レンジ)の説明が終了しました。
しかし、もうひとつ重要な要素が残っています。
それが、資金配分(ロット設計と損益の見通し方)です。
この手法を構築するための、最後のポイントです。
次の記事で、この手法の中核となる部分を解説します。