手法最大のかなめ! 崩れないロット(購入数量)設計と最大損失(DD)の決め方

前回の章で、価格レンジの設定に関する考え方を解説しました。
そして、今回の章ではこの手法のもっとも核となる部分をお伝えします。

それが、購入数量と最大損失(DD)の考え方です。
この考え方の土台がないまま運用をはじめると、途中で不安に耐えられなくなり、利益が出る前にやめてしまいます。

この章では、トレードを最後まで続けるための設計を固めます。


購入数量の設計が最も重要な理由

トレードで成否を分ける要因で、銘柄選択やエントリータイミングより重要なものがあります。
それは購入数量です。

同じ手法でも、購入数量が違えば結果は変わります。
購入数量が適切であれば、想定から多少ズレてもそのまま運用を続けられます。

逆に購入数量が大きすぎると、わずかなズレで不安になり、途中で判断を変えてしまいます。
トレードの安定性は、購入数量で決まります。


購入数量は最大損失から逆算する

購入数量は、「欲しい利益」から決めてはいけません。
どれだけ増やしたいかではなく、どこまで耐えられるかで決めます。
※ここでいう「耐えられる」というのは、精神なタフさの話ではなく、資金量が間に合っているかどうかの話です。

この手法では、価格が下がるほどポジションが増えるため、必ず含み損が発生します。
重要なのは、その含み損が「常に事前の想定内」であることです。
この状態を作ることで、運用中の判断がブレなくなります。


最大損失(DD、ドローダウン)の考え方

この手法における最大損失とは、最悪のケースでどれだけ含み損が出るかです。
実際にロスカットしたときの損失額を意味するわけではなく、ポジションが最大まで積み上がり価格が大きく下落した状態です。

ここで重要なのは、その想定を甘くしないことです。
現実的には、過去の安値を大きく下回るケースや、長期的な低迷も起こり得ます。
極端なケースとして、価格がゼロに近づく可能性も視野に入れておきます。

有望な銘柄を選んでも、このようなことが「起こり得る範囲」として設計することで、想定外を減らします。


暴落を前提にする理由

仮想通貨(暗号資産)は、上昇の過程で大きな下落を繰り返します。
有望な銘柄であっても、価格が半分、あるいはそれ以下になることは珍しくありません。

しかし、どの価格帯でも値動きは発生します。
そのため、暴落後の価格帯でも運用を継続できる設計にしておけば、値動きそのものを収益に変え続けることができます。


利益見通しと最大損失の算出方法

理屈がわかったところで、私のやり方を例に、実際の計算方法を説明したいと思います。
私の場合は、下図のようにエクセルで複数ポジションを持ったときの損益を計算できるようにしています。

※エクセルファイルが欲しい方は、無償で配布しています。
メールアドレスを登録いただければ、ダウンロード用のリンクをお送りいたします。


利益見通しの計算

では実際に、エクセルでどんなことを計算しているのか、お見せします。
計算方法を理解してもらう必要はありません。
どんなことを算出して確認しているのか、そのイメージだけつかんでもらえれば良いです。

たとえば、イーサリアム(対ドル、ETH/USD)を設計するとして、下図のC列には価格レンジを入れています。
1,100ドル~3,000ドル、間隔は100ドル幅にしています。

そして、D列には購入数量を入れるようにします。
たとえば上図で言えば、2,000ドルで1枚買ったという状態です。

トラリピ的な繰り返し売買では、設定した間隔で繰り返し売買が行われますので、例えば2,000ドルで購入したポジションは2,100ドルで決済されます。

E列に出ている金額が、そのときの利益です。(下図)
要は、繰り返し売買が1回成立すると、100ドル(ドル円レートを155円/ドルとすると15,500円)儲かると言った感じです。(図中の赤丸を参照。なお、繰り返し売買せずにたとえば2,000ドルで1枚買い、2,500ドルで売却したら日本円で77,500円の利益という計算になります。青丸の箇所を参照。)

そして利益の合計額は、「回数」で決まります。

  • 1回あたりの利益 × 取引期間中の約定回数

これがおおよその利益見通しになります。
たとえば上図で、レートが2,000ドルから2,100ドルへの振幅を10回したら、15,500円×10回で155,000円の利益ということなります。
(そんな簡単に利益は出ませんが、たとえばの話です。)

約定回数は、チャートを見てレートの振幅を数えれば、ある程度把握できます。
完全に正確に出す必要はなく、「どの程度の頻度で動くか」を把握できれば十分です。


最大損失の計算方法

そして最大損失を、運用を始める前に必ず数字で確認します。

複数ポジションを持つ場合でも、エクセルなどのスプレッドシートを使えば簡単に計算できます。
例えば一定間隔で買い下がる場合、価格がいくら下がったときに、含み損がいくらになるかを確認します。

たとえば、イーサリアム(米ドル建て)のポジションを2,500ドルから1枚ずつ購入して計10枚持ち、価格が1,000ドルまで下がった場合を確認したい場合、下図のように入力すると含み損が1,627,500円、といった形で可視化できます。(下図)

このとき重要なのは、その含み損額が許容する額になっているかどうかです。
なっていない場合は、購入数量を下げるか、価格レンジや分割の幅を見直します。

※ ここまでの計算は、実際に手元で試してみると理解が深まります。
同じ計算ができるエクセルファイルを無償で配布していますので、よければご自身でもシミュレーションしてみてください。

→(ダウンロードリンク)


補足:損益シミュレーションの役割

以上のようなシミュレーションを行うことで、以下が明確になります。

・価格レンジ
・分割の値幅
・購入数量
・1回あたりの利益
・最大含み損の額

これらを事前に把握しておくことで、運用中の不安を排除します。


よくある失敗パターン

以下は、よくある失敗パターンです。

  • 価格レンジや購入数量を詰めすぎる
  • レバレッジをかける

利益を早く出したいと考えると、レンジを狭めたり、購入数量を大きくしがちです。
しかしこれを行うと、想定外の下落時に身動きが取れなくなります。

また、仮想通貨(暗号資産)にレバレッジをかけると、暴落時にあっさり強制ロスカットになるリスクが生まれます。
この手法では、現物での運用を前提にすべきです。


まとめ

以上で、手法のすべての解説を終了しました。
シンプルな手法に見えますが、守るべき重要な点がいくつもあります。
以下、簡単なまとめとなります。

  • 長期的に有望な銘柄を選ぶ
  • 買いのみで構成する
  • 現物で運用する
  • 価格の上抜けを狙い、それをもって終了する
  • 仮想通貨のアノマリー(4年周期)を念頭に入れる
  • 価格レンジを事前に決める
  • 購入数量は最大損失から逆算する
  • 想定外を作らない設計にする

これらを守ることで、この手法を使いこなせるようになります。
実践にあたっては、ぜひ何度も振り返ってください。


次にやるべきこと

手法の解説は以上です。
ここまでお疲れ様でした。

次は最終章となります。
最終章の内容は、実際にこの手法をどう始めるかです。

具体的にどういった取引所を使い、どのように設定するのか。
実際の構築手順と使用環境について解説します。

→ 仮想通貨のトラリピ的トレードの始め方|取引環境と設定手順

※ 今回解説した計算をそのまま使えるエクセルファイルを用意しています。
購入数量や価格レンジを入力するだけで、利益見通しや最大損失を一度に確認できます。
無償で配布していますので、使ってみたい方はこちらからお受け取り下さい。

→(ダウンロードリンク)

-グリッドトレード入門